相続税増税問題
2013年09月22日
消費税増税問題の陰に隠れる形で地味ではありますが、平成27年1月以降に起こる相続を対象に相続税が増税されることが既に決まっています。
ただ、地味というのは仕方のないことで、それは、元々、相続税がかかる相続がそう多くないからです。
ちなみに、財務省「相続税、贈与税など(資産課税等)に関する資料」(平成25年5月末現在)で、死亡者数に対する相続税の課税件数の割合がどれくらいかと見ますと、平成23年では4.1%となっています。つまり、実際に課税があった被相続人(死亡者)の数は100人のうち4.1人ということになるのです。
だから、消費税の増税に比べれば世の中に与える影響が遥かに少なく、話題としても地味だと言わざるをえません。
しかし、平成27年からは相続税がかかる相続が増えることは間違いありません。しかも、前記の統計で相続税の課税件数の割合が4.1%となっていますと書きましたが、実は課税はされなかったけれども相続税の申告が必要だったケースはもっと多いはずなのです。
と、言いますのは、相続税の場合、いくつもの特例措置というものがありまして、それらの特例の適用を受けるためには、結果的に納税額がなくても相続税の申告が必要だからです。
ところで、地味とはいえ、相続税の増税を控えて、税負担の増加に対して関心のある方々に対して、相続税が大増税になるなどとして節税策を奨めるセミナーなども行われているようです。
先にも書きましたように、確かに、全体としてみたら平成27年から相続税が増えることは間違いありません。
でも、実際には、どれだけ増えるのか?
これは落ち着いて個別具体的に検討する必要がありますとしか言えないわけですが、少なくとも大増税などと煽られて必要のない対策を採ったりしないことが大事です。
まず、見た目にインパクトが大きいのが、基礎控除額の低下です。新制度では、最低基礎控除額が現行より2400万円下がって、3600万円(現行6000万円)になります。これは、法定相続人が一人のケースですが、法定相続人が一人増えるごとに1000万円づつ増える現行制度の基礎控除額が600万円に引き下げられます。
亡くなった夫の相続人が妻と子供2人で、それぞれ民法の法定相続分で相続するというケースでは、現行でいくと課税遺産総額が8000万円を超えるまで相続税が課からなかったのに、新制度では4800万円を超えると課税の可能性が出てきます。
あと、目立つところでは、6段階の税率が8段階となり最高税率が55%になることですね。
さて、これだけ見ると、確かに、「すわ、大増税!」と思えても仕方がありません。
でも、やっぱり、落ち着いて検討する必要があります。
良く見かける相続税の速算表などによると1億円以下の税率は30%で控除額が700万円なんて書いてあります。これを見て早合点すると、1億円の遺産があると、単純に2300万円も相続税が課かるなんて思いがちですが、
例えば、先の例のように亡くなった夫の相続人が妻と子供2人で民法の法定相続分によって課税遺産総額1億円を相続するというケースでの実質負担率は、現行1%、すなわち税額で100万円です。
同様のケースで、それが新制度になるとどうなるかと言いますと、実質負担率は、3.15%、税額にして315万円です。
つまり、このケースでは215万円相続税が増えることになります。これで大増税と言うかどうかは個人差があるでしょうね。
ちなみに同様のケースで、課税遺産総額3億円で560万円、7億で970万円の増税です。相続税の増加率でみると課税遺産総額が増えるほど低下します。
そこで、大増税なんて言っても、むしろ、この程度のものだと考えることもできるのではないでしょうか。
というわけで、相続税の場合は見せかけの税率よりも実質負担率で見ることが大切ですね。
加えて、先にも書きましたように相続税制の中には各種の特例措置があります。
例えば、被相続人の居住の用に供されていた宅地等で一定の条件に当てはまる場合には評価額を20%にするというものがあります。この特例対象土地の面積は現行240㎡ですが平成27年からは330㎡まで拡大されます。
これらの特例を上手に使えるようにすれば、さらに、税額は減ります。
ですから、大増税の掛け声に踊らされることなく、急に変な節税策をすることなく、これまで通り、採りうべき最善の相続対策を行うというスタンスで、冷静に対処すべきでしょう。
なお、いずれにしましても、相続税対策において、不動産の評価額の差が最終的に負担する相続税額に跳ね返りますから、本当に差が出るのは不動産の扱いというケースが実に多いです。
日本経済新聞の2013年9月18日付朝刊にも次のような記事があったようです。
増税時代の頼れる味方 相続通の税理士を探せ~
ここでは、『相続税の申告で最も面倒な相続財産、特に土地の評価に詳しいことも必要だ。財産の大半が土地である場合は多く「その評価額が課税額に大きく影響する」からだ。土地の図面だけでなく「実際に現地に土地を見に行く手間を惜しまない税理士がよい」と言える。』と、あります。
でも、実際に現地に土地を見に行くだけでは不十分で、役所の調査が欠かせません。
相続問題の無料相談はこちらです。
ただ、地味というのは仕方のないことで、それは、元々、相続税がかかる相続がそう多くないからです。
ちなみに、財務省「相続税、贈与税など(資産課税等)に関する資料」(平成25年5月末現在)で、死亡者数に対する相続税の課税件数の割合がどれくらいかと見ますと、平成23年では4.1%となっています。つまり、実際に課税があった被相続人(死亡者)の数は100人のうち4.1人ということになるのです。
だから、消費税の増税に比べれば世の中に与える影響が遥かに少なく、話題としても地味だと言わざるをえません。
しかし、平成27年からは相続税がかかる相続が増えることは間違いありません。しかも、前記の統計で相続税の課税件数の割合が4.1%となっていますと書きましたが、実は課税はされなかったけれども相続税の申告が必要だったケースはもっと多いはずなのです。
と、言いますのは、相続税の場合、いくつもの特例措置というものがありまして、それらの特例の適用を受けるためには、結果的に納税額がなくても相続税の申告が必要だからです。
ところで、地味とはいえ、相続税の増税を控えて、税負担の増加に対して関心のある方々に対して、相続税が大増税になるなどとして節税策を奨めるセミナーなども行われているようです。
先にも書きましたように、確かに、全体としてみたら平成27年から相続税が増えることは間違いありません。
でも、実際には、どれだけ増えるのか?
これは落ち着いて個別具体的に検討する必要がありますとしか言えないわけですが、少なくとも大増税などと煽られて必要のない対策を採ったりしないことが大事です。
まず、見た目にインパクトが大きいのが、基礎控除額の低下です。新制度では、最低基礎控除額が現行より2400万円下がって、3600万円(現行6000万円)になります。これは、法定相続人が一人のケースですが、法定相続人が一人増えるごとに1000万円づつ増える現行制度の基礎控除額が600万円に引き下げられます。
亡くなった夫の相続人が妻と子供2人で、それぞれ民法の法定相続分で相続するというケースでは、現行でいくと課税遺産総額が8000万円を超えるまで相続税が課からなかったのに、新制度では4800万円を超えると課税の可能性が出てきます。
あと、目立つところでは、6段階の税率が8段階となり最高税率が55%になることですね。
さて、これだけ見ると、確かに、「すわ、大増税!」と思えても仕方がありません。
でも、やっぱり、落ち着いて検討する必要があります。
良く見かける相続税の速算表などによると1億円以下の税率は30%で控除額が700万円なんて書いてあります。これを見て早合点すると、1億円の遺産があると、単純に2300万円も相続税が課かるなんて思いがちですが、
例えば、先の例のように亡くなった夫の相続人が妻と子供2人で民法の法定相続分によって課税遺産総額1億円を相続するというケースでの実質負担率は、現行1%、すなわち税額で100万円です。
同様のケースで、それが新制度になるとどうなるかと言いますと、実質負担率は、3.15%、税額にして315万円です。
つまり、このケースでは215万円相続税が増えることになります。これで大増税と言うかどうかは個人差があるでしょうね。
ちなみに同様のケースで、課税遺産総額3億円で560万円、7億で970万円の増税です。相続税の増加率でみると課税遺産総額が増えるほど低下します。
そこで、大増税なんて言っても、むしろ、この程度のものだと考えることもできるのではないでしょうか。
というわけで、相続税の場合は見せかけの税率よりも実質負担率で見ることが大切ですね。
加えて、先にも書きましたように相続税制の中には各種の特例措置があります。
例えば、被相続人の居住の用に供されていた宅地等で一定の条件に当てはまる場合には評価額を20%にするというものがあります。この特例対象土地の面積は現行240㎡ですが平成27年からは330㎡まで拡大されます。
これらの特例を上手に使えるようにすれば、さらに、税額は減ります。
ですから、大増税の掛け声に踊らされることなく、急に変な節税策をすることなく、これまで通り、採りうべき最善の相続対策を行うというスタンスで、冷静に対処すべきでしょう。
なお、いずれにしましても、相続税対策において、不動産の評価額の差が最終的に負担する相続税額に跳ね返りますから、本当に差が出るのは不動産の扱いというケースが実に多いです。
日本経済新聞の2013年9月18日付朝刊にも次のような記事があったようです。
増税時代の頼れる味方 相続通の税理士を探せ~
ここでは、『相続税の申告で最も面倒な相続財産、特に土地の評価に詳しいことも必要だ。財産の大半が土地である場合は多く「その評価額が課税額に大きく影響する」からだ。土地の図面だけでなく「実際に現地に土地を見に行く手間を惜しまない税理士がよい」と言える。』と、あります。
でも、実際に現地に土地を見に行くだけでは不十分で、役所の調査が欠かせません。
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やっぱり、遺言でしょ
2013年09月06日
一昨日、最高裁判所で相続問題に関するひとつの決定(裁判の結果)が出ましたね。ニュースでも大きく取り上げられていましたので、御存知の方も多いでしょう。
この決定は民法900条4号の法定相続分に関するものです。
民法900条4号では、「子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とするとされているのですが、今回の決定は、この規定が嫡出でない子を差別することに合理的な理由がないから無効だとしたのです。
嫡出である子というのは婚姻関係にある男女の間に生まれた子(嫡出子)で、嫡出でない子というのは婚姻関係にない男女の間に生まれた子(非嫡出子)です。
この決定に対しては賛否両論あるようですが実務にたずさわる者としては賛否の表明はひとまず置いて、実務に与える影響を一番に考えてしまいます。
正直、言って、実務に与える影響は大きいでしょう。それは、手続き的なこともさることながら、嫡出子と非嫡出子が混在する相続事案は、今まで以上にデリケートな問題になると考えるからです。
それは、さておき、一般に誤解されないように努力するのも実務にたずさわる者の役割だと思いますので以下、書いてみます。
大きな誤解は、今回の決定で嫡出子と非嫡出子の相続分が同じになったと思われることです。
民法900条はあくまで法定相続分に関する規定です。この規定が生きてくるのは、まず、被相続人(亡くなった人)が相続分(割合)について何の意思表示(普通は遺言)もしていなかった場合です。次にこの規定が生きてくるのは遺言がある場合も相続人に最低限保障されている相続分(遺留分)を計算するときです。
ですから、被相続人が遺留分の規定に抵触しない遺言を遺していた場合は、原則として、民法900条の法定相続分は問題になりません。また、相続人間の協議や遺産分割の調停または審判の結果、民法900条の法定相続分とは違った結果になることも当然にありえます。
ですから、今回の決定で嫡出子と非嫡出子の相続分が同じになったと考えるのは早計といえます。(もちろん、憲法に照らして無効とされたわけですから、相続人間の協議や遺産分割の調停または審判のプロセスや結果に与える影響は大きいですが。)
民事法の世界には私的自治の原則というものが根底にあり、その中に遺言自由の原則も含まれます。
私的自治の原則とは、私法(民法はその代表格です)上の法律関係については、個人がその自由な意思に基いて自分で創ることができるという原則です。
ですから、法定相続分より、個人の意思である遺言が優先されるわけですね。
そこで、少なくとも訴訟等の紛争になる懸念がある相続が想定される場合(想定されない場合もですが)は、できるだけ関係する皆さんが納得するような、そして法的紛争を招かないような遺言を残すことをお奨めします。
その第一歩は、自らが死亡した場合に想定される相続人が誰であるかの把握です。
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この決定は民法900条4号の法定相続分に関するものです。
民法900条4号では、「子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とするとされているのですが、今回の決定は、この規定が嫡出でない子を差別することに合理的な理由がないから無効だとしたのです。
嫡出である子というのは婚姻関係にある男女の間に生まれた子(嫡出子)で、嫡出でない子というのは婚姻関係にない男女の間に生まれた子(非嫡出子)です。
この決定に対しては賛否両論あるようですが実務にたずさわる者としては賛否の表明はひとまず置いて、実務に与える影響を一番に考えてしまいます。
正直、言って、実務に与える影響は大きいでしょう。それは、手続き的なこともさることながら、嫡出子と非嫡出子が混在する相続事案は、今まで以上にデリケートな問題になると考えるからです。
それは、さておき、一般に誤解されないように努力するのも実務にたずさわる者の役割だと思いますので以下、書いてみます。
大きな誤解は、今回の決定で嫡出子と非嫡出子の相続分が同じになったと思われることです。
民法900条はあくまで法定相続分に関する規定です。この規定が生きてくるのは、まず、被相続人(亡くなった人)が相続分(割合)について何の意思表示(普通は遺言)もしていなかった場合です。次にこの規定が生きてくるのは遺言がある場合も相続人に最低限保障されている相続分(遺留分)を計算するときです。
ですから、被相続人が遺留分の規定に抵触しない遺言を遺していた場合は、原則として、民法900条の法定相続分は問題になりません。また、相続人間の協議や遺産分割の調停または審判の結果、民法900条の法定相続分とは違った結果になることも当然にありえます。
ですから、今回の決定で嫡出子と非嫡出子の相続分が同じになったと考えるのは早計といえます。(もちろん、憲法に照らして無効とされたわけですから、相続人間の協議や遺産分割の調停または審判のプロセスや結果に与える影響は大きいですが。)
民事法の世界には私的自治の原則というものが根底にあり、その中に遺言自由の原則も含まれます。
私的自治の原則とは、私法(民法はその代表格です)上の法律関係については、個人がその自由な意思に基いて自分で創ることができるという原則です。
ですから、法定相続分より、個人の意思である遺言が優先されるわけですね。
そこで、少なくとも訴訟等の紛争になる懸念がある相続が想定される場合(想定されない場合もですが)は、できるだけ関係する皆さんが納得するような、そして法的紛争を招かないような遺言を残すことをお奨めします。
その第一歩は、自らが死亡した場合に想定される相続人が誰であるかの把握です。
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公正証書遺言が完成しました
2013年09月01日
先月28日に大津の公証役場に御依頼人さんと一緒に公正証書遺言の作成手続きに出向きました。
今回は79歳の女性=Aさんの遺言です。この方、独身で子供さんがありません。
Aさんは幼くして戦争で父親を亡くし、13歳のときに母親と離別。それ以後、当時12歳と4歳の妹との3人暮らしを強いられました。
たいへん苦労されました。姉妹とはいえ、実際は4歳の妹の親代わりでした。それでも、何とか生き抜いてこられ、不動産を持つまでになられたのですが、先頃、離別した母親が再婚していて子供が2人(うち、1名は既に死亡、子供なし。生存者は女性。)いたことが判明しました。
母親は既に他界されていますので、Aさんの推定相続人は二人の全妹と一人の半妹です。
顔も知らない半妹ですが、どうも、成年後見人が就いている状況のようです。
このような状況下で、Aさんはその遺産を一番下の全妹(Bさん)に遺したいとのことでした。何しろ、AさんはBさんの親代わりで、我が子も一緒と話すほどですから、その心情は察することができます。
そこで、Bさんに全財産を相続させる遺言を作ったわけです。
兄弟姉妹には遺留分がありませんから、これで大丈夫ですが、もし、BさんがAさんより先に亡くなれると、この遺言は実現不可能なものになってしまうので、BさんがAさんより先に亡くなれた場合のことも遺言書に盛り込みたかったのですが、Aさんには、今、BさんがAさんより先に亡くなった後のことがイメージし難かったようで、今回は見送りました。
遺言書ができるまで、たいへん、緊張されていたAさんですが、でも、手続きがすべて終わって、ホッとしたと言って貰えました。
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Aさんは幼くして戦争で父親を亡くし、13歳のときに母親と離別。それ以後、当時12歳と4歳の妹との3人暮らしを強いられました。
たいへん苦労されました。姉妹とはいえ、実際は4歳の妹の親代わりでした。それでも、何とか生き抜いてこられ、不動産を持つまでになられたのですが、先頃、離別した母親が再婚していて子供が2人(うち、1名は既に死亡、子供なし。生存者は女性。)いたことが判明しました。
母親は既に他界されていますので、Aさんの推定相続人は二人の全妹と一人の半妹です。
顔も知らない半妹ですが、どうも、成年後見人が就いている状況のようです。
このような状況下で、Aさんはその遺産を一番下の全妹(Bさん)に遺したいとのことでした。何しろ、AさんはBさんの親代わりで、我が子も一緒と話すほどですから、その心情は察することができます。
そこで、Bさんに全財産を相続させる遺言を作ったわけです。
兄弟姉妹には遺留分がありませんから、これで大丈夫ですが、もし、BさんがAさんより先に亡くなれると、この遺言は実現不可能なものになってしまうので、BさんがAさんより先に亡くなれた場合のことも遺言書に盛り込みたかったのですが、Aさんには、今、BさんがAさんより先に亡くなった後のことがイメージし難かったようで、今回は見送りました。
遺言書ができるまで、たいへん、緊張されていたAさんですが、でも、手続きがすべて終わって、ホッとしたと言って貰えました。
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